08あなたの愛が正しいわ~

2023-04-05 07:14:47 来源:哔哩哔哩

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08 楽しい夜会

今日は、王宮で夜会が開かれる。この夜会には、ファルテール伯爵である夫も招かれているので、私も伯爵夫人として一緒に参加することになっていた。


(资料图)

私はこの日のために夜色(よるいろ)のドレスを新しく仕立てた。黒く艶のある生地に銀糸で上品な刺繍がされている。

とても気に入っているドレスだけど、今まで私が着ていた淡い色やふわりとスカートが広がるようなデザインではない。身体のラインがはっきりとわかるし、胸元も下品に見えない程度には開いている。

「少しやりすぎたかしら?」

私が不安になっていると、メイドたちは瞳を輝かせながら「素敵です、奥様……」「とても、お似合いです!」と褒めてくれた。

「そう?」「はい!」

嬉しくなった私は、遠慮せずに自分の好きを追求することにした。

いつもとは違うメリハリのついた化粧をほどこしてもらい、目尻に少しだけ赤を入れる。イヤリングとネックレスは大好きなルビーでそろえた。

「奥様、髪はどうなさいますか?」「そうね……」

私の髪は、デイヴィスの金髪とは違い、白っぽい金髪だ。そのせいで、デイヴィスが好きそうな淡い色のドレスを着ると、全体的にぼやけた印象になってしまう。それを髪型でごまかそうとしていたので、できる髪型がかぎられていた。

でも、今日は黒いドレスに濃い化粧なので、どんな髪型にしてもぼやけた印象にはならない。

「あなたたちに任せるわ」

それを聞いたメイドたちは「アップにしましょう!」「いえ、奥様の美しいプラチナブロンドならおろしたほうが!」と少しもめてしまったけど、最終的には右側にシルバーの髪飾りをつけて、左側に髪を流すことで落ち着いた。

「できました!」「お美しいです、奥様……」

そういったメイドたちは、満足そうな顔をしている。

「ありがとう」

姿見には、誰のためでもなく自身のために着飾った私が映っている。その姿は堂々としていて、とても幸せそうだ。

私は最後の仕上げにデイヴィスが贈ってくれた結婚指輪を左手の薬指にはめた。青い宝石がついたゴールドの指輪だったけど、まぁこれも悪くない。

それに、今の私になれるきっかけをくれたデイヴィスには、とても感謝している。

身支度を終えた私が自室から出ると、なぜかデイヴィスが扉の前で待っていた。デイヴィスは、目を見開きこちらを凝視している。

「デイヴィス。こんなところで、何をしているの?」

私の声で我に返ったデイヴィスは、「君を迎えに来たんだ」と微笑んだ。

「迎えって……。いつもは馬車の前で合流しているのに?」

私は差し出されたデイヴィスの手を取らず、一人で歩き出した。そのあとをデイヴィスが付いてくる。

「ローザ、どうして僕にエスコートさせてくれないんだい?」

デイヴィスの言葉に私は苦笑してしまう。

「エスコートは、会場でだけ」「え?」

「前にあなたがそう決めたじゃない」

本当にデイヴィスはうっかりしているところがある。自分が決めたたくさんのルールをもう忘れてしまったらしい。

「そんなこと、言ったかな……」「言ったわよ。過去の私はあなたに嫌われたくなくて、あなたに言いつけられたことを全部書き残して、何度も読み返していたの。だから、間違いないわ。今思うと、私ったら気持ち悪い女ね。それに……」

私は、ついため息をついてしまった。

「あなたはずっと前から、私に遠まわしに『うっとうしい』『つきまとうな』と言ってくれていたのね。それなのに、少しも気がつかなくて、本当にごめんなさい」

うつむいたデイヴィスからは、深いため息が聞こえてくる。

「……僕は君に、他にはどんなことを言ったの?」「ひとつも覚えていないの?」

あまりの記憶力のなさに、彼は何かの病気なのかと疑ってしまう。でも、健康そうなデイヴィスを見る限り、病気というよりは、私に少しも興味がないだけだとすぐに気がついた。

私だって、むりやり宝石を買わせようと、すりよってくる宝石商に何を言って断ったかなんて、いちいち覚えていない。

それと同じで、うっとうしい女を追い払うための言葉を、デイビィスも覚えていないだけ。

そう考えると、デイヴィスが決めたルールを忘れていることにも納得できた。

しばらく悩んだデイヴィスは「君とダンスは踊らない、とか?」と言いながら視線をそらす。

「そうね。あなたはダンスは踊らない主義なのよね?」「あれは……その、あのときは疲れていて、つい、そんなことを言ってしまったんだ。だから……」

なぜか慌てているデイヴィスに安心してほしくて、私は優しく微笑みかけた。

「心配しないで大丈夫よ。あなたがもう私のことで疲れることなんてないわ。あなたの言うとおり、夫婦でも、程よい距離でいることって大事よね」

私が「忘れているのなら、あなたが決めたルール、今度、見せてあげましょうか?」と提案するとデイヴィスは「……ああ」と暗い声で返事をした。

「どうしたの? 具合でも悪いの?」

私の問いに「いいや」と答えたデイヴィスは、それきり黙り込んでしまう。

デイヴィスが不機嫌になって黙り込むのはいつものことだった。

以前の私ならデイヴィスに機嫌を直してもらおうと必死に話しかけていたけど、そういう行動もきっと『うっとうしい女』に含まれていたんだと今ならわかる。

馬車に乗り込んだ私は、すぐにデイヴィスの存在を忘れて、窓から見える流れゆく景色を楽しんだ。こんなに楽しい気分で参加する夜会は久しぶりだった。

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